連載コラム
spc

コラムサラリーウーマン金太郎 ── 激闘本番30代篇
Vol.30 「インターネット天国のキーマンたち(その2)」
(27.Jun.2001)
関連事業本部が考えた作戦は、社員全員(管理職から一般社員まで)に対して、インターネットの可能性を啓蒙するに社内セミナー『インターネット活用セミナー』の実施だ。霞ヶ関本社で1回、羽田空港講堂にて2回、各回100名程度の参加者を見込んでやることにした。社内各部署に関連事業本部から連絡が回覧された。ここでのポイントは、社員個人個人がインターネットに関して学ぶことができる機会を、関連会社の私の部署がボランティアでセミナーを実施するよ、ということ。
 つまりインターネットの社内利用等の業務直結のセミナーであれば、システムを担当する情報システム部の管轄になってしまう。しかし、個人向けであれば文句の言いようもない。セミナーの時間も、霞ヶ関は就業時間の終わった18時30分から。羽田地域はシフト勤務者が多いので、13時と15時からの2回で各2時間だ。
 内容は私の部下のSE達が、「インターネットとは?」から始まり、その可能性、メールの便利さ、個人が利用するためのプロバイダーの選び方やパソコンについてなどを説明する。
 本当の入門編で、各方面が心配するような内容ではない。しかし営業本部や情報システム本部に対してはかなりの大勝負をした形になる。なかなか過激な計画なので、いつもなら上司説得に大変なところだが、今回は人事異動で転勤してきたばかりでテトリスに夢中の部長は、何がなんだかわからず、「成功すれば手柄です」という私の言葉を信じて、すんなりOKが出て準備が進められた。

 しかし、セミナー前夜、いろいろなことが起こった。
 自分の部署は参加しない、自分は参加しないと、関連事業本部にわざわざ電話をいれてくるもの。しかし、一番頭にきたのはインターネットの推進を反対する情報システム本部だった。部署ごと怒り狂ってしまい、ウィルス等の危険性があるようなインターネットを社内で推奨するとは絶対に許さない中止しろという連絡は、私のところにまで届いてきた。
 翌日、霞ヶ関本社でのセミナーが決行された。80名分の椅子を用意したが、会場は満員で、さらに椅子を追加した。各部署から、管理職も担当者も男性、女性も皆、興味深々で集まってきた。驚いたことに最後尾の列には、自らもパソコンを良く使っていて、インターネット推進者と聞いていた、専務取締役が2名座っていた。
 私は部屋の一番後ろに立ち、セミナーが無事に終わることを見守っていた。

 さあセミナーも終盤、残り15分の質問時間となったとき、最前列で大声で怒り狂ったようにマイクを握って男性が話し始めた。会場がどよめき、緊張が走った。
「私は情報システム部のものだ。こんなセミナーをやってインターネットを推奨するが、あなたはインターネットのウィルス等の危険性をどう考えてるのか。それを抜きにして可能性だけを語って、皆をけしかけてるんだろう。インターネットは危険だ。まだやるべきではないはずだ」
 周りの心配をよそに、壇上にいた東京理科大の講師もやっているシステムエンジニアはソフトにそつなく質問をかわした。強引に質問をしたのは、情報システム部の主任だった。後で知ったが、その行動は彼の意志ではなかったらしい。しかし、彼の言動はそこの会場にいた全員が目撃してしまった。
 1ヶ月もしない間に、大きな力が動き、インターネット反対派が急速に衰えたことは言うまでもない。インターネットは告知メディアとして、ようやく認識されてきた。予約、発券? まだまだ……道は遠い。
 とりあえず、イベント告知等でその効果を確かめよう。ではゴルフ中継なんかどうだろうか?

Top↑
spc

close