連載コラム
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コラムサラリーウーマン金太郎 ── 激闘本番30代篇
Vol.24 「部下との戦い Part1 有給が6月でないですって?」
(7.Feb.2001)
マルチメディアの教材開発やCD-ROM制作だけなら、ディレクションをするディレクターとデザインソフトやオーサリングソフトを使えるクリエイターが数名いれば困らなかった。当時、私の部署は12〜3名、“課”の体制に成長していた。しかし、教材のデータベースや画像のデータベースを開発する必要がでてきたため、C言語の書けるプログラマーやシステムエンジニアが必要になった。私の会社の本社機能のある羽田にはシステム部があり、コボルを書くシステムエンジニアに混じって、数人パソコン周りの開発言語プログラムを書く若者がいた。私はその中の1人と個人面接をして気に入り、彼を獲得するべく、人事異動の希望を提出した。4月に入ってからの無理なリクエストに、相当もめることを覚悟し、半ば諦めていた。しかし希望は6月中にかなうという素早い会社の対応に、私は微かに会社が私の事業を理解・応援してくれている実感を感じた。
 辞令発令の1週間前の内示の段階で、私は驚いた。私の希望が1名なのに3名が配属されることになっている。一緒にくる2人は私と全く口も利いたことがない若者達で、ウィンドウズ系のシステムエンジニアと、営業。いずれも27〜30歳くらいだ。彼らの業務経歴やいろいろなものを見ながら、まあスタッフ強化もいいかなと、彼等の元上司の課長からの引継ぎをし始めた。
「君が欲しいというから、1人といわず3人出すことにしたよ。彼らは僕のところでは仕事にあぶれていたし、丁度良かったよ。ただ一つだけ言っておくけど、彼らに期待しないほうがいいよ。何しろ今6月だっていうのに、2人は年間14日間ある有給休暇を使い果たしてるからさ。今後、彼等が何かで会社を休めば欠勤扱いだよ。たぶん皆、今年会社辞めるつもりでいるんだろう。やる気なくて、すぐ休むぞ!」
 信じられない! この、あまりにひどい話に私は部長に噛みついた。
「なんで問題児2人まで私のとこに押しつけるんですか?」
「何言ってるんだ、おまえこそ無理な時期に異動のリクエストを希望したんだから、会社の要求にも答えろ! あいつら根性ないんだから、おまえが厳しくすればすぐ辞めるから、それでいいんだよ」
「この2人には面接して、勤務態度の話をしてるんですか? 会社として」
「上司は教育者じゃないんだし、やる気ないのに会社に居座られると困るんだよ。首にすれば煩いしな、自分から辞めてもらうのが一番なんだよ。」

 なんてことだろう。出向社員はプロパー社員のマネージメントが下手なのは前から感じていたが、嫌なことで自分の手を汚そうとはしないその根性には幻滅だ。やる気がないのはお前ら出向管理職だろ〜! もうひき返せない。本人達に内示されているから来週から、彼らを引き受けなくてはいけない。数名の部下に、彼らの席を作らせながら、私は何をやらせたらいいのか、目の前が真っ暗になった。

 1週間後彼らがやってきた、当初から希望していたSEはすぐにプロジェクトメンバーに入り仕事を始めた。私は問題児2人を順番に個人面接をすることにした。

■システムエンジニアA

    「システム課ではどうだったの」
    A 「どうだったって、僕のやる仕事はこの半年間でパソコンのセットアップ数台だけでしたよ。コボルなんて今更やるつもりないしね。毎日プログラムの本読んでました」
    「なんで有給休暇が6月でもう残ってないのかな?」
    A 「会社に来ても仕事ないですし、有給消化するのは権利だし、迷惑は誰にもかけてません」
    「有給がゼロになって、もし会社を休むような病気になったらどうするの?」
    A 「それは……。その時はその時でしょう」

■ 営業 B
    「システム課で営業だったのよね」
    B 「優秀な営業だよ俺は。なんで、あんたの部下になっちゃったのかな」
    「私が営業も必要だからよ。気になったんだけど、有給休暇が6月でもう残ってないの?」
    B 「やることないからだよ。会社で遊んでるくらいなら有給休暇取るべきだろう?」
    「営業って自分で仕事見つけてくるものでしょう。有給がないと病気になったら困るわよ。欠勤はボーナスにも響くのよ」
    B 「そうかよ。あ〜あ、なんでマルチメディア事業部に配属なんだよ。あんた羽田の事務所でなんて呼ばれてるか知ってる? 鬼ババアだぜ! 全くあんたの下なんてまいったよ」
 私はこの瞬間に決心した。この2人をピカピカバリバリに鍛え上げてやる。そして彼等の口から、私の部下になれて良かったと言わせてみせる。でも道のりはかなり厳しそうだ。
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